なまこ壁とは

 「なまこ壁」をご存知ですか?
見た事がある方が大半だと思います。
日本人のDNAに刻まれた意匠と言っても良いでしょう。


 当社で施工した某お寺のなまこ壁の画像です。
ちなみに、「なまこ」の由来は、
盛り上がった白い漆喰の断面形状が海に生息する「海鼠」に
似ているからだそうです。

 しかし、何故、こんな手間がかかり、掃除も大変そうな形状が一般的になったの
でしょう。
なまこ壁の格子模様が美しかったからでしょうか。
それとも、黒と白のコントラストが江戸時代の人々の粋心に響いたから?
 この黒い部分は、なんと「瓦」で出来ているのです。
屋根の瓦と全く同じ物を平に四角く焼いた物です。
で、白い部分はその瓦の剥落を押える為のいわば目地です。
タイルの目地と同じです。ちなみに、「瓦」を英語に訳すと「タイル」になります。
 江戸時代は火事が多かったので、その火から守る為に、壁に瓦を
貼っちゃおう、ということです。
瓦は不燃ですものね。
また、壁の下の方は、軒を深くしても、雨や泥などで痛みやすいものです。
瓦は、水にも強い素材なので、その点でも好都合でした。
 それでもまだ疑問は残ります。
壁に貼ってあるのは、あくまで瓦です。色も厚みも。
ヨーロッパでは色鮮やかなタイルが発達しました。
スペインの絵タイル、ラヴェンナのタイルによる壁画、
タイルは、人が建築物に求める防火防水性と共に、装飾に用いることも
容易な素材なのに、日本では、なぜ平瓦から、タイルに発展しなかったのでしょうか。
 私はその理由を、日本特有の室内のしつらえに求めました。
 ふすまや屏風で簡単に室内の装飾を変えられるのに、わざわざずーっと
壁にくっつけておかなきゃいけないものに、装飾をするのを好まなかったのではないか?
 二条城の「黒書院」の障壁画は同時代のヨーロッパの室内装飾に匹敵する
華美なものですが、その派手さは取り外せるものにだけ宿っています。
 「なんで、赤絵や九谷焼の瓦がないの?」と聞いたとしたら、
長く保たせる為のものに装飾をするのは野暮だ、
と、当時の殿様は答えるのかも知れません。

 ところで、この写真のなまこ壁は黒部分もしっくいです。
必要からデザインが生まれて、時代により素材は変わっても、
受け継がれてゆく意匠があるのですねえ。




プロフィール

材木店店長

Author:材木店店長

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ウェブで 木材の通販 (塗装、組み立てなどの加工 も 可能) のほか、 一級建築士として、住宅の設計施工もしています。フランス語を勉強していた筈なのに、何故? しっくいや無垢の木など、自然素材を使った住宅設計が分野です。


大したことはないですが、昔からの材木族のため、木材の種類には少しは詳しいかも知れません。

趣味は建材のカタログを読むことと、文章を読んだり書いたりすることです。


この世の中にまだない、いいものやいい仕組みを作ることが
できるのではないか,
自分は何かできるのかと発達するウェブの世界をのぞく度、心震えています。



わくわくすることに出会うと、我慢出来ずに没頭するけど、
そんなんで生きて行けるのだろうか。周りの人は大丈夫なのか?


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